母に最期に会えず 今までありがとう!天国で幸せに
母を見送った。
享年87歳であることを考えれば、
平均的な日本人女性のレベルには達しているものの、
やはり、心の支えでもあり、
拠り所でもあった母親の死を受け止めるのはきつい。
急遽、滞在先のニューヨークから福岡に戻ったが、
最後の瞬間には立ち会うことができなかった。
知らせを受けたのは、現地時間の午後7時すぎ。
危篤ということで慌てて、準備をしたのだが、
日本に向かう便は午前しかなく、
アメリカのキャリアを探したが、
結局は翌日の朝まで待つしかなかった。
ニューヨークは大雪に見舞われたが、
何とか日本航空の便に乗ることができ、
26時間かけて福岡にたどり着いた。
しかし、母親は既に天上界へと旅立っていった。
慌ただしい時間だった。
通夜、告別式を無事に済ませ、
故人の生前に関係する多くの人達に見守られ、
静かに旅立った。
数十年振りに大宰府天満宮に一人訪ねた。
御神木の飛梅も三分咲きで、
三月初めには見頃を迎える。
幼少の頃、よく来たな。...
母は出来の悪い僕の将来に
日頃から不安を抱いていて、
学問の神様で菅原道真公の御墓所であり、
そのお御霊を祀る大宰府天満宮に、
時間があると僕を連れ参拝していた。
思い出深い場所の一つだ。
長い時を隔てても当時と変わらず、
幼少の記憶に引き戻される。
懐かしい。
最後の時には間に合わず、親不孝したな。
悔やまれる。
大学進学と同時に故郷を離れ、
あまり一緒にいてあげられず、
寂しい思いをさせた。
何もしてやれなかった。
親父の時はある程度、受け入れられた。
覚悟はできていたつもりだが、
母親については、正直きつい。
手前味噌だが、優しく、あたたかく、
春の陽だまりのような母だった。
親不孝への償い、育ててもらった感謝、
今後、何ができるのか…。考えたい。
母への生前のご厚誼に、
親族をはじめ関係の皆様に感謝。
別れの瞬間から新しい生き方を迎える。
気持ちを切り替え、
旅立ちと受け止め、
祝ってやりたい。
心からありがとう。